毎日の暮らしをちょっと豊かにする、バリスタのしごと

来春、オープン予定の「リノア北赤羽」に、地元で人気の高いコーヒー店「Hey Coffee」の限定出店が決定! 共用スペースに素敵なメンバーが加わることとなりました。「Hey Coffee」では、厳選された質の高いスペシャルティコーヒーをハンドドリップで提供。その味に惚れ込んだお客様が「自分でも美味しくコーヒーを淹れたい」と、お店が主催する部活動「オトナバリスタクラブ」に続々と入部しています。そこで、NPO法人彩結びは、リビタ・プロジェクト担当者とともにお店を訪問! 店主の戸田由佳さんと「オトナバリスタクラブ」メンバーである宮井陽子さんに、コーヒーへの想いやお店の魅力をたっぷりと伺いました。ぜひご覧ください!

※NPO法人彩結びは、2020年春のオープン時より、「リノア北赤羽」の共用部(カフェスペース、多目的ルーム、屋上デッキなど)の運営企画・管理を行います

<お話を伺ったメンバー>
「Hey Coffee」店主・戸田由佳さん:
オーストラリア・シドニーで人生を変えるコーヒーと出会い、バリスタに。戸田エリアでマルシェ出店を続け、2017年戸田公園に「Hey Coffee」をオープン

「オトナバリスタクラブ」部員・宮井陽子さん:
苦手だったコーヒーが「Hey Coffee」との出会いで大好きに。以来、コーヒーに目覚め、今では部活動である「オトナバリスタクラブ」の中心メンバー

※本文は敬称略

もともと苦手だったコーヒー。シドニーで飲んだ一杯が運命を変えた

コーヒーのお店を始められたきっかけについて、ぜひ聞かせてください。

この世界に入る前は、実は美容やメンタル系のセラピストをしていたんです。ある時、仕事に必要な資格のアップデートのためにオーストラリアのシドニーに渡ることになりまして。暮らしてみると、街の至るところにコーヒーショップがあって、1ドルという手ごろな値段で買えたんですね。私自身、もともとコーヒーが苦手でそれまでほとんど飲んだことがなかったのですが、お金もなかったので「まぁ1ドルだし、試しに飲んでみよう」とラテを頼んだら、びっくり! すごく美味しくて、日本で飲んだコーヒーとぜんぜん味が違うと感じたんです。それ以来、度々コーヒーを買うようになって、いつの間にか好きになっていました。

まさかコーヒーが苦手だったとは意外です。そこからコーヒーの世界へ入っていかれたんですね。

はい。資格の勉強のために通っていた学校のカリキュラムが大幅に変わることになって、ビザの期間がかなり余ることになってしまったんですね。せっかくだから何か学ぼうと思い、コーヒーのスクールに通い始めました。イタリア系のオーストラリア人の先生にマンツーマンで教わったんですが、すごく陽気な人で、「バリスタはテンションよく、楽しくやらなきゃ!」とよく言っていて。先生の教えのもと、実際にコーヒーを淹れたり、接客の仕事をしたりするうちに「バリスタの仕事って楽しいかも!」と思うようになりました。

セラピストからバリスタへ転身! シドニーで人生を変える大きな出会いがあったんですね。日本に帰られてからはどうされたんですか?

これからどうしようかと悩みましたが、国内のコーヒー市場が盛り上がってきたこともあり、自分でお店を持つのも面白いんじゃないかと。帰国して住み始めた戸田市が月1回マルシェを開催している地域だったので、戸田を中心に埼玉県内でマルシェでの出店を続けていたところ、ちょうどいい物件が見つかって、2017年の4月にお店をオープンすることができました。

お店の内装もおしゃれで、居心地のよい空間ですよね。

ありがとうございます。大家さんが元大工さんで、ここはもともと大工の作業道具が置いてあった、ガレージだったんです。最初は大家さん自身、「飲食店に貸すのはちょっと……」と難色を示していたようですが、実際にお話させてもらった時に「頑張っているみたいだし、貸してあげるよ!」と言ってくださって。ご高齢の優しいおじいちゃんなんですけど、そんな大家さんのこれまで大事にされてきた想いやDNAも残したいと思い、当時の大工道具だった足場板をカウンターの足元のボックスとテーブルとして使わせてもらいました。

それは素敵ですね。大家さんの想いや温かみも空間ににじみ出ている気がします。

コーヒー本来のフレッシュな味を楽しむには、浅煎りがベスト

「Hey Coffee」さんのコーヒーは香り豊かでとっても美味しいですが、コーヒーにはどんなこだわりが?

オーストラリアにいた時から変わらず、「浅煎り」の豆を使っています。苦味がなく、透明感があって飲んだ時にスーっと入ってくるのが特徴です。もともとコーヒー豆の原料は、「コーヒーチェリー」と言われている甘酸っぱい“実”で、「生鮮食品」なんですね。その鮮度のいい豆を焦がさず、浅炒りすることでより甘味と酸味のある、フルーティな香りを楽しめるんです。

コーヒー豆も相当、質の良いものを使われているんでしょうね。

世界の高品質なコーヒー豆を仕入れているオニバスコーヒーさんと取引していまして。オニバスコーヒーさんは、実際に現地の農園に行って栽培の様子を見たり、木の健康状態を見たり、自分たちの目で確かめて仕入れている会社なんですね。希少なコーヒーだからこそ、現地の人に譲ってもらうためにも収穫を一緒に手伝うなどして関係性を築いていく。値段は決して安くはないですが、そうした信頼の置けるものを私自身も使いたいと思い、取り扱いをさせてもらっています。

そのお話を伺ってコーヒーを飲むと、また味わいが変わりますね。

浅煎りだけど、深いみたいな(笑)。

そう言ってもらえるとうれしいです。スペシャルなコーヒーが街中で気軽に味わえたらいいなと思って、店名もそんな感じにしたんです。

親しみを感じる、いい名前ですよね。どうやって決めたんですか?

まだお店の名前が決まっていない時に、子ども向けのマーケットに出ることになったので、お子さんでも読めたり、言えたりする名前がいいなと思いまして。そういえば、オーストラリアにいた時にコーヒーショップの店員さんがお客さんによく「HEY!」と声をかけていたなぁと思い出して、それにしようと「Hey Coffee(ヘイコーヒー)」と名付けました。

お店に何度かお邪魔させてもらった時に、お客様との距離感がまるで親友みたいな近さだなと感じて。すごく素敵だなと思っていました。

戸田さんのお人柄が明るく優しい空間を作ってるんでしょうね。どんなお客様がいらっしゃることが多いですか?

赤ちゃんから高齢の方まで。コーヒーが苦手な人も虜にする

子育て中のママたちもよく足を運んでくれますね。赤ちゃん連れのママさんがお手洗いで席を外す間、私が代わりに赤ちゃんを抱っこしてあやすこともあります。そうそう、大家さんのお友達のおばあちゃんも、銭湯の帰りに時々「ラテをちょうだい」と寄ってくれるんです。ハート型のラテアートをして出したら、「まぁ!」と喜んでくれて。そうした何気ないお客様との触れ合いも楽しいです。

宮井さんも「Hey Coffee」さんの常連だそうですが、お店に通うようになったきっかけとは?

ちょうど一年前ぐらいなんですけど、関西からこちらに引っ越してきたばかりで友だちもまだいないし、遊びに行くにもどこに行こうかなという感じの時で……。私もコーヒーが苦手であまり好きじゃなかったんですけど、ある時ふらっと入ったカフェでコーヒーを飲んだらすごく美味しかったんです。その感動を知り合いの美容師さんに話したところ、「戸田公園にもいいお店があるよ」と、「Hey Coffee」のことを教えてもらいました。

実際に行かれてみて、第一印象はいかがでしたか?

噂通り、コーヒーを飲んだ時の口当たりがよくて、ぜんぜん苦くないので驚きました。フルーティで飲みやすかったです。帰り際に、「どこから来られたんですか?」と戸田さんが話しかけてくれて、初対面でも打ち解けて話せましたね。

宮井さんはお客様として来られるだけじゃなく、戸田さんからコーヒーの淹れ方も学ばれているんですよね? 

そうなんです。「オトナバリスタクラブ」という部活動に参加していまして、これまでに4回ほど活動に出てドリップの仕方を学んでいます。

そもそもなぜ、こうした活動を始めたかというと、お客様の中で「豆を買ってはみたものの、なかなか美味しく淹れられない」という声が多かったからなんですね。講座を開くなら、座学よりも実践が多いほうが楽しいですし、部活みたいに皆でドリップの練習をたくさんできたらいいなと思い、2019年の1月に「オトナバリスタクラブ」を立ち上げました。

具体的にどんなことをされるんですか?

誰かに淹れたくなる。その気持ちこそが上手くなる一番のコツ

2人1組になってもらって、コーヒーを交互に淹れてもらいます。1人が淹れている間に、もう1人が豆を準備して計量したり。挽くところだけ私が担当しています。コーヒーが上手く淹れられるようになるには、「ドリップの反復練習」が何より大事なので、1人あたり毎回4、5回は淹れてもらうようにしていますね。

戸田さんの部長ぶりはどんな感じですか? 

そうですね、ビシバシ系でしょうか(笑)。

皆が淹れてくれたコーヒーを味見するんですけど、「薄い! はい、もう1回!」とかね(笑)。他にも「(ドリップする時の)腕の高さが違う!」とか「テーブルとの距離が近すぎるよ」とか。とにかくドリップする時の位置が安定しないと美味しく淹れられないので、その点は結構、ビシビシ言いますかね。

まさに部長ですね! ドリップにもフォームがあるとは、驚きました。宮井さんはご自宅でも練習するんですか?

やっぱり家で淹れないと上手くならなくて。ケトルとか道具を揃えるところから始めましたね。豆もコンスタントに買いますが、値段も張るので毎日1杯だけと決めています。お湯をどれぐらい入れて、何秒ぐらい蒸らすいいのか? 淹れ方によって味が変わってくるので、日々追求するのが面白いです。

日本人は所作も細かいですし、一つの物事を極めるタイプの人が多いので、ハンドドリップってすごく向いているんですよ。実際、日本人のハンドドリップの技術は世界的にも優れていますしね。
私としては、自分のために淹れて美味しいと感じるのも大事なんですけど、誰かに淹れたくなる気持ちこそが、一番の上手くなるコツかなと思っています。

なるほど。宮井さんもどなたかにコーヒーを淹れられたことはあるんですか? 

はい、先日友達が来ていたので淹れてあげたら、その子もコーヒーは苦手なほうだったんですけど「美味しい!」と言ってくれて。うれしかったですね。

「Hey Coffee」でコーヒーを学ぶようになって、宮井さんの毎日の生活に変化が生まれましたか? 

そうですね。もともとコーヒーが苦手だったのに、今はコーヒーが生活の中心になっていて不思議です。部活動のメンバーとも仲良くなって情報交換をしたり、気になるお店に足を運んだり。行動範囲もちょっと広がったかもしれません。

人が人を呼ぶ、「Hey Coffee」の磁力

「Hey Coffee」さんは来春オープンする「リノア北赤羽」に出店されるそうですが、ぜひリビタさんに「Hey Coffee」さんにお声をかけた理由を伺いたいです。 

最初のきっかけは、弊社の担当者から「面白い方がいるよ」と紹介されたのが始まりです。実際に戸田さんにお会いして、初対面にも関わらず、お話が弾んで。「オトナバリスタクラブ」をはじめ、フェスの企画など積極的に活動されていて、こんなに魅力的な方とご一緒できたらといいなと思ったんです。一言で言うと、磁力が強い! 戸田さんをはじめ、「Hey Coffee」さんの周りにいろんな人が集まっていて、いろんなご縁がつながっているのが素晴らしいなと思いました。

私たちも今日お話を伺って、“磁力”を強く感じましたね。北赤羽でこんなに本格的なコーヒーが飲めるというのもありがたいですし! 

そんなに褒めてもらっちゃって、照れますね。リノアには、今うちで働いている子育て中のスタッフに行ってもらう予定でいるので、お客様と子育ての話もしながら、ほのぼのした空間になるのではと思います。ちなみにそのスタッフはラテアートの2015年日本チャンピオンなんですよ。「オトナバリスタクラブ」の活動もぜひやりたいですね。私も時々顔を出しますが、穏やかで優しい男性スタッフが部長になる予定なので、楽しみにしていただけたら。教え方もソフトです(笑)。

楽しみですね。ビシバシ系も好きですが! 現在、弊社が運営している「大人の部活動」がテーマのシェアスペース「BUKATSUDO」をぜひリノアでも展開できたらと思っていまして。「オトナバリスタクラブ」を筆頭に、様々な部活動ができるスペースとして、住民の方や地域の方に活用していただけたらと思っています。

いろんな趣味を持つ人同士がつながる場所になれたらきっと楽しいですね。その趣味が将来の仕事につながる可能性大! たとえば、「BUKATSUDO」でコーヒーの淹れ方を学んだ方が、リノアのシェアキッチンで自分のお店を持つ、なんてこともあるかもしれません。この場所がそれぞれの人の夢や生きがいが生まれるスペースになれたら最高ですね。

<記事を書いた人>

駒松 舞衣(こままつ・まい)

今回の記事でライターデビュー! 3児のママとして子育てに奮闘しながら、NPO法人彩結びのスタッフとしても活躍。北赤羽エリアに在住。

<記事の編集をした人>

伯耆原 良子(ほうきばら・りょうこ)

ライター歴19年。NPO法人彩結びのイベント企画担当。舞衣さんのライターデビューを後押しするべく、取材やライティングを指導!

<写真を撮影した人>

SHOKO

記事の編集やPR業務を行うかたわら、インタビュー撮影なども手がける。ものをつくること、伝えることが好き。